小泉八雲についてちょっとした発表する機会があり、著書の『日本の面影』を再読しました。

新編 日本の面影 (角川ソフィア文庫)

新編 日本の面影 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: ラフカディオ・ハーン,Lafcadio Hearn,池田雅之
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2000/09/18
  • メディア: 文庫
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小泉八雲の本名は、パトリック・ラフカディオ・ハーン。父方のアイルランドの守護聖人の名前がファーストネームで、母方のギリシャの島の名前にちなんだミドルネームです。
しかし、パトリックは抜け落ちてラフカディオがファーストネームみたいになっています。背景にあるのは、複雑な家庭状況です。
ギリシャ正教徒の母はダブリンでの暮らしになじめず、子供を置いてギリシャに帰ってしまいました。父は再婚し、ハーンをカトリック教徒の叔母に預けます。
ハーンは厳格な宗教教育になじめず、顔も覚えていない母の国ギリシャへの憧憬から「ラフカディオ」を名乗ったのではないでしょうか。
「自然や人生を楽しく謳歌するという点でいえば日本人の魂は不思議と古代ギリシャ人の精神によく似ていると思う」と書いていることからも、自らのギリシャの血が日本ととても相性がいいと感じたのでしょう。

その一方でキリスト教にはかなりの敵意を持っていたようで「日本がキリスト教に改宗するなら、道徳やそのほかの面で得るものは何もないが、失うものは多い」とまで主張しています。

『日本の面影』は日本への賞賛であふれています。
特に「東洋の第一日目」の章。人力車を雇い、横浜の外人居留地から日本の町へ出たハーンは「これこそ昔夢見た妖精の国だ」「名画のような町並みの美しさ」と感嘆します。
特にハーンの目をとらえたのが日本語の漢字とかなです。

表意文字が日本人の脳に作りだす印象というのは、退屈な、ただの音声記号であるアルファベットの組み合わせが西洋人の脳に作り出す印象と、同じものではない。日本人にとって、文字とは、生き生きとした絵なのである。表意文字は生きているのだ。それらは語りかけ、訴えてくる。そして、日本の通りの空間には、このように目に呼びかけ、人のように笑ったり、顔をしかめたりする、生きた文字が溢れている。

日本語を学ぶ外国人は「ひらがな、かたかな、漢字。覚える字が多すぎて投げ出したくなる」と嘆きますが、ハーンは、ただただ美しさに見とれました。ローマ字の導入は許せないというハーンが、現在の日本を見たら、どんな感想を持つでしょうか。

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鳥居は「空に向かってそびえ立つ美しい漢字の巨大な模型」だそうです。
ハーンは外国人として初めて本殿で宮司に謁見しました。外国人の中には境内に近づくことさえ許されなかった者もいたとありますが、松江中学校の同僚だった西田千太郎氏の紹介状が威力を発揮したようです。

ハーンが謁見した千家尊紀氏は、歴代出雲国造の81代。昨年、高円宮家の典子様とご結婚された千家国麿氏は84代の長男ですから、高祖父(曽祖父の一代上)になります。